タイ国税法典
第1編 総則
[訳注:「国税法典」は国税局が管轄する全ての国税を規定しており、日本の国税通則法、国税徴収法、
法人税法、個人所得税法、消費税法、印紙税法を網羅している]
“タイ国”又は“王国”には、一般に承認された国際法の原則に基づき、かつ外国との
合意に基づき、タイ国の管轄権が及ぶ大陸棚地域をも含む。
[訳注:タイの行政区について,「県」(Janwat)の下に「郡」(Ampoe)と郡に準じる「准郡」(King-Ampoe)
があり、「バンコク都」(Krungthep-Mahanakorn)の下に郡と同レベルの「区」(Kheet)がある]
(税率の軽減と免税)
[訳注:日本の施行令、施行規則、基本通達に当るものに、勅令、省令、局長告示が
(刑の酌量)
第3条の2
下記する職員は、違反容疑者を禁固刑に又は起訴するに及ばないと認める場合、第13条に
基づく違反を除き、以下の違反を罰金刑のみに酌量する権限を有する。
(1)罰金のみ、罰金又は6ヶ月以下の禁固、又は罰金と6ヶ月以下の
違反は、バンコク都内で生じた場合は局長の権限とする。他の県で生じた場合は県知事
の権限とする。
(2)罰金又は6ヶ月を超え1年以下の禁固、又は罰金と6ヶ月を超え
併科となる違反は、局長、地方行政局長、警察
構成される委員会の権限とする。
違反容疑者が、権限者の決定に基づき、期限内に酌量された罰金
違反容疑者はこの違反の件にて起訴される責
第1段落に基づく権限者が、酌量の権限を行使すべきでないと認める場合、酌量したが
違反容疑者がその酌量に従うことを容認しない場合、又は容認したが権限者が定めた期限内
に罰金を支払わなかった場合、起訴手続きがとられる。この場合、他の法律に基づき再度
酌量がなされることはない。
(加算金)
第3条の3
この法典の規定に基づき租税加算金を納付すべき者が、容認して省令の定める規定に基づき加算金
を納付した場合、その者は加算金納付の責から免れる。
納税することを定め官報にて公示することができる。この場合、納税はその事務所の長により金銭
受領済みの署名がなされた領収書を受取ったとき完了したとみなされる。
される帳簿、書類又はその他の証拠を捜索、押収又は差押えるため、局長は王国内の如何なる場所
又は乗物にも立ち入る権限、又は税務職員を立ち入らせる命令を文書で出す権限を有する。
バンコク都以外の県では、県知事又は区税務署長は、その県内又は区内において第1段落に基づく
局長と同一の権限を有する。
第1段落又は第2段落に基づく行為は、日出から日没まで又は事業者の
ならない。
[訳注:税務調査は、日本と同様に担当職員が直接会社等へ来て行われ、調査範囲は
付加価値税等全ての国税に及ぶ]
第3条の6 納付すべき税金に関係する、又は関係すると推測される各種帳簿、書類及びその他の証拠類が、
外国語で作成されている場合、査定官又は担当
させるよう命じることができる。
[訳注:英語で記載が認められている会計帳簿でも、当局の命令があればタイ語に翻訳しなくてはならない]
第3条の7 この法典に基づく徴税のため、会計監査及び監査証明は、局長より許可証を取得した者のみが
行うことができる。
前段落に基づき局長に許可証を申請する者は、大臣の承認を得て局長が
があり、かつ則した者でなければならない。
上記の許可証を取得した者が、局長が定める規定に違反した場合、局長は検討の上許可証の取消し
を命ずることができる。
この条項の規定を何処の県内にて施行するかは、大臣の承認を得て局長が告示する。
告示は官報にて公示する。
[訳注:局長告示により、会計監査人は商務省登録の公認会計士と規定されている]
(期限の延長)
第3条の8 この法典の規定に基づく各種申告書又は申告説明書の提出期限、異議申し立て期限、又は納税期限
につき、もし上記期限内に履行すべき者がタイ国に滞在していない場合、又は期限内に履行できない
止むを得ない理由がある場合、局長が適切と認めれば、状況に応じ必要なだけ期限の延長又は繰り
延べをすることができる。
この法典に規定する各種の期限について、大臣が適切と認めた場合、
の延長又は繰り延べをすることができる。
第3条の9 第3条の5の規定に基づき職務を遂行する職員に対して、知りながら
妨害した者は、5,000バーツ以下の罰金、又は1ヶ月以下の禁固、又はそれらの併科とする。
第3条の10 第3条の6の規定に基づく査定官又は担当職員の命令に従わない者は、5,000バーツ以下の
罰金を課す。
第3条の11 この法典に基づく徴税の便ため、局長は納税義務者及び所得支払者に
納税者番号を与え、大臣の承認を得て局長が
第1段落に基づく規定は官報に告示する。
[訳注:企業も企業の駐在員も、納税者番号を取得するため納税者登録をする必要が
第3条の12 第3条の11の規定に基づき出された告示に違反した者、又は従わない者には、2,000バーツ
以下の罰金を課す。
第3条の13 徴税のため必要な場合、第2編に基づき源泉徴収義務のない第40条に基づく課税所得支払者に
対し、局長は省令に規定する原則、条件及び税率に基づき源泉徴収するよう命令する権限を有する。
これに関しては
第63条を準用する。
第3条の14 この法典の規定に基づく源泉徴収が必要な場合、支払が裁判所からの
もの、あるいはその他の理由によるものであっても、源泉徴収義務者は、その支払いの際、源泉徴収
して納税しなければならない。
第4条 大蔵大臣はこの法典に基づき管轄し、査定官及びその他の職員を任命して官報にて公示する権限、
及び下記省令を公布する権限を有する。
(1)印紙の使用と廃止。使用可能な印紙との交換の期間と条件の規定。ただし、期間は60日
以上であること。
(2)この法典を施行するためのその他の事項の規定。この省令は、官報に公示されて有効となる。
第4条の2 タイ国を出国しようとする外国人は、滞納している税金又は納期限に
税金を納付するか、又は納税保証金を差し入れなければならない。これはこの法典の規定に基づき
出国前に完了しなければならない。
第4条の3 タイ国を出国しようとする外国人は、納税義務の有無に関わらず、出国前15日以内に局長が指定
した様式に基づき、納税証明書の交付申請を行わなければならない。
前段落に基づく交付申請について、住所又は居所がバンコク都内にある申請者は、局長又はその
被権限委譲者に対して申請すること。住所又は
又はその被権限委譲者に対して申請すること。
前段落に基づき納税証明書を申請しない、又は申請したが納税証明書を取得していない外国人が、
タイ国を出国又はタイ国を出国しようとする場合、この法典違反である他に、その外国人は納付
すべき税額の20%に相当する加算金を支払わなくてはならない。この条項の加算金は租税とみなす。
[訳注:国税庁告示により1991年5月以降、外国人出国時の納税証明書取得の義務は
告示が取消されない限り、第4条2〜9は無視して
第4条の4 第4条の2、第4条の3の規定は、タイ国を通過する外国人、一時的に入国し滞在する外国人、
課税年度内における滞在合計が90日を超えず課税所得のない外国人、又は大臣の承認を得て局長が
規定し告示した外国人に対しては適用しない。
第4条の5 第4条の3に基づく申請を受理した者は、申請者が第4条の2に基づき納付すべき税金があるか
否かを審査し、もしない場合は、申請者に対し
こと。
前段落における審査で、申請者に第4条の2に基づく納付すべき税金があり、申請者が完納した
ことが判明した場合、あるいは全く納付していないか又は一部しか納付していないが、局長、県知事
又はその被権限委譲者が適切と認める保証人又は担保を申請者が手配した場合、局長、県知事又は
その被権限委譲者は、納税証明書を発行することができる。
第4条の6 第4条の3に基づく申請を受理した者が審査して、申請者に緊急かつ一時的にタイ国を出国すべき
相当な理由があり、そして申請者が滞納している又は納付すべき税額に相当する十分な担保又は資産
をタイ国内に
することができる。
第4条の7 第4条の8の規定の場合の他、納税証明書の有効期限は発行日から15日間とする。期限前に納税
証明書の延長申請があった場合、局長、県知事又はその被権限委譲者は、さらに15日間延長する
ことができる。
第4条の8 職業又は専門職上の日常業務としてタイ国を出入りする必要のある
その被権限委譲者に対し、数次使用可能な納税証明書を発行するよう申請することができる。申請を
受理した者が
に見合う十分な担保又は資産をタイ国内に保有していると認めた場合、局長が規定する様式に従い、
納税証明書を発行することができる。上記の納税証明書の有効期限はその証明書内に記載される。
ただし、発行日から180日を超えないこと。
(納税証明書に関する罰則)
第4条の9 この法典の規定に基づき所持すべき納税証明書を所持せずタイ国を出国した外国人は、1,000
バーツ以下の罰金、又は1ヶ月以下の禁固、又はそれらの併科とする。
上記の行為未遂の外国人も、同様に罰せられる。
第4条の10 局長又はその被権限委譲者は、税金の還付を受ける者に対し、複利計算によらず還付税額の1ヶ月
当り又は端数月につき1%の率にて、利息を支払うよう命じること。上記は省令に規定する原則と
条件に基づく。
第1段落に基づく利息は、還付税額を超えず、かつこの法典に基づき徴収した租税から支払われる。