2008.6.21 修正 |
1.はじめに |
外国人がタイで仕事(ビジネス)を開始する際、会社を設立しなければならない。日本と違ってタイで会社を設立することは非常に簡単です。
会社名(商号)を決めるだけで、他の書類は一切不要です。日本のように登録資本金の一部を銀行に振り込むという手続きも不要です。 |
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2.会社設立のフローチャート |
(1) |
会社名(商号)登録予約。
― 申請からOKまで4日間かかる。 |
(2) |
設置趣意書(定款)の作成。
― 当局のひな型があり、必要項目をタイプする。登記所へ申請して翌日O.Kとなる。 |
(3) |
総会の開催
― 通常、創立総会はほとんど行わないが、法律によると発起人に手紙を郵送し、8日間、間を置かねばならない。(各人に周知するため) |
(4) |
(最終)登記申請
― 創立総会を午前中に行い、午後登記所へ申請し、翌日登記簿を受理できる。従って、何も問題なく行えば、3週間で終了できるはず。当地では、定款作成の場合「公証人役場での本人宣誓」の制度がなく商業省登記所で兼ねている。 |
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3 会社設立上の留意点
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(1) |
会社の名称
日本にある会社と同じ名称にしても良いし、全く違っても構わない。つまりタイ国内でのビジネスは、日本国内の会社名に左右されない。
日本の会社と関連をもたせたい場合、日本の会社名の後に、タイランドをつけることが可能です。(又は、最初にタイを付けて日本の会社名を続けることも可能)
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(2) |
登録資本金について
通常サービス業の場合、200万バーツが一般的。これによって1名のワークパミットが得られるため。メーカーの場合、その資本投下によって決まるが、ワークパミットが、200万バーツに1人のため、一人増やすごとに200万バーツずつ資本金を増やさなければならない。 |
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(3) |
発起人 |
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法律上は7人以上となっている。しかし窓口では通常7人が喜ばれる。日本人の発起人は1〜3人に止める事。外国人の出資比率は49%以下に制限されている。
但し、コンドミニアム以外の不動産を取得しようとするなら、外国人の出資比率を40%以下にすること。コンドミニアムは外国人単独でも、購入できるので、考慮の必要はない。
(注:2008年7月1日より発起人、株主は3人以上になります。)
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(4) |
額面の株価 |
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法律上は最低5バーツであるが、1株当たり1,000バーツ又は、10,000バーツが相場。 |
(5) |
会社設立場所 |
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既に会社設立場所が決まっている場合は、賃貸している所有者の同意書を得ること。
その際、賃貸契約書(タイ語)の添付が必要。会社の設立場所が決まっていない場合は、弁護士事務所や知人の事務所、家の名義借りを行い、設立場所が決まってから所在地を移す。 |
(6) |
会社設立の目的 |
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将来のため最大限の項目を記載したいもの。
かつては、40項(第一産業から第三次産業のすべての項目)全部を羅列できたが、現在は主に行う目的として、第一産業(22項目)、第二次産業(16項目)第三次産業(23項目)のいずれかを選択することになっている。
しかし、メーカーでかつ販売も行う場合は、主な目的として、第二次産業と書き、追加で行う内容を付け加える。 |
(7) |
役員(具体的に取締役)について |
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最低1人、会社の経営に責任を持つ人を決める。設立登記では、社長や常務などの肩書きは記載しなくて良い。日本人1人でも可能。ただし、会社登記申請手続きの際のみ、タイ人を取締役の申請人とすると、日本人のサインは1回で済む。
なお、取締役は株主でなくても可能。 |
(8) |
優先株 |
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普通、「優先株はなし」と記載する。 |
(9) |
代表権(サイン権)について |
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いろいろな方法で行われている。
いずれの場合でも社印を必要条件としている。以下例を示す。
○取締役1人のみサイン権を認める。
○取締役2人の連名でもって成立する。
○取締役2人(or3人)のうち、いずれか1人で成立する。
○取締役3人のうち、いずれか2人の連名をもって成立する。
○取締役4人のうち、AorB、CorDの2人の連名をもって成立する。 |
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(10) |
その他 |
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通常の場合、株券は発行しない。 日本人が当地で会社を設立する場合、必要書類はパスポートとその写しのみ。
法人(日本の会社及び当地の会社)が、会社設立の発起人になることは認められない。(自然人) |
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4 会社設立にかかわる主な問題点
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(1) |
資本金
授権資本金と登録資本金の2つがあるが、通常では登録資本金を「資本金」としている。 |
(2) |
監査人
監査人(役)株主の中から取締役を除いて選任することになっているが、もうひとつの方法として会計士を選任する方法がある。通常会計士を選任する場合が多い。
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(3) |
会計士
決算書作成の場合に会計士のサインが必要で、実際には会計士の部下が作成し、会計士自身がサインして責任を負っているようです。日本のように税理士と会計士の区別はなく会計士のみである。
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(4) |
会計年度
会社の会計年度は一度開始月を決めて提出するとその後変更は難しい。本来は登記した月より起算するのであるが、3〜6ヶ月後より会計簿を記入しその月を開始月としてもお咎めはない。通常1月1日から、12月31日とする会社が多い。
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(5) |
決算書
一年に一度、決算書を商業省と税務署に届けなければならない。(決算後150日以内)にこの届けを提出しない会社は税務署の立ち入り対象会社になる。
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(6) |
銀行開設
会社の登記関係の書類をもって銀行に行くと簡単に口座を開くことができる。銀行での小切手のサイン権は、普通会社の代表権のある人によるが(場合によっては連名もある)代表権のある人による委任状によって第三者(主に職員であるが)サイン権を委譲することも可。
普通預金の場合1000バーツ。当座預金の場合20,000〜30,000万バーツのそれぞれの預金が必要。ただし、日系の銀行は最初に当座預金の開設を認めない場合もあり。
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(7) |
税務署への届出
会社設立後2週間以内に税務署へ届け出なければならない。そして、実際にビジネス・タックスを払うときには法人としての「納税者番号証明書」を受けなければならない。「個人所得の源泉税」及び、ビジネス・タックスは毎月、月初めに納入しなければならない。
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(8) |
VAT (付加価値税)の登録をすること。 |
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(1) |
登記に関する一連の書類(様式)
登記所内で1セット20バーツ程度で購入できる。書類はタイ語のみで英語はない。一連の様式はひな型として出来ており、易しいようであるが、初心者が行うと何回も足を運ぶことになり時間を浪費する。
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(2) |
社判(印)の発行
登記の際、社判は必ず必要。形はどんなものでも良いが、一般にはタイ語と日本語(又は英語)の2種類又は3種類で会社名が書かれた印が多い。 |
(3) |
株券の発行
個人会社(ペーパーカンパニー)では通常株券を発行しない。面倒くさいだけであるので。 法律上は義務づけているが、強制はない。 |
(4) |
タイ人の名義借り
会社を設立する場合、パートナーがいない場合、タイ人の名義借りが大変である。一方では51%のタイ人名義のため、乗っ取り防止を心配しなければならない。
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(5) |
株主の譲渡証
名義を借りた人からは株主白紙譲渡証をもらっておくのが常識。 仮になくても、権限のある取締役は株主を簡単に変更できるが、トラブル防止のための保険と思うこと。 |
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(1) |
弁護士登記の際、弁護士のサインが必要。
これは日本での公証人役場と同じ役割を果たしている。 |
(2) |
会社の乗っ取り防止を絶えず心配しなければならない。そのための防止方法が色々あり。 |
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5 小林株式会社でのお手伝い
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最近会社設立の手続きは非常に煩雑になってきている。弁護士または依頼した人との打ち合わせに言葉の壁があり、時間がかかる上、書類を揃えるのにも、1〜2週間かかる。さらに、申請してから3〜4週間後にやっと完了する。
小林株式会社では、会社設立一切を7万バーツで請け負っており、約30日間で完了させている。 なお、登録資本金が200万バーツの場合、1万バーツの国への登録料が必要。
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6 非公開株式会社と公開株式会社について |
(主な相違点)
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非公開株式会社 |
公開株式会社 |
根拠法令 |
民商法典に基づく |
公開株式会社法に基づく |
株主数 |
100人未満 |
100人以上 |
設立発起人 |
7名 |
15名 |
株式引取募集 |
不可 |
可 |
社債の発効 |
不可 |
可 |
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