1.駐在員の心得と資格

 
■駐在員の心得■
 
1.  駐在する上で一番大切なことはなんと言っても「郷に入りては郷に従う」こと。そのためには、当地の習慣を学ばなければならない。当地の習慣を学ぶことにより相互理解が得られる。

  習慣を学ぶためには、タイ語を学ぶことが一番の近道である。私達日本人は「出稼ぎ」でタイ国へ来ているのですから、「よそ様の国で働かせてもらっている」という謙虚な心構えを持つことも重要だ。
 
 
2.  経営感覚をもって、経営者の立場に立って判断し、行動すること。日本の会社では、そのセクションの長としてベストを尽くしていれば良かったかもしれないが、当地に来ると、社長または取締役と して振舞わなければならない。会社の経営に責任を負う立場にいるという自覚が必要だ。
 
 
3.  健康に留意すること。ビジネスマンに限らずあらゆる人間にとって健康が第一である。一人一人健康管理の方法は違うと思うが、意識を持って持続すること。
 
 
4.  色恋に注意。タイの女性はきれいで誘惑が多い。遠藤周作の『王道への道』は山田長政が美人に 毒殺されてしまうというストーリーである。特に単身者はくれぐれも出世街道から振り落とされないよう気をつけること。
 
 
5.  バンコクへの赴任は、会社があなたに新たなる経験の場を提供してくれたようなものである。 自己研賛に励み、大きく成長して本社に戻ること。
 
 
6.  経済大国とウヌボレないこと。昭和20年代の日本の状態を思い起こせ。
 
7.  ビジネスはゲームであるといわれているが、最終的に役に立つ事は、相互の信頼関係である。
 
  ※ バンコクでの駐在は海外勤務の中で一番やさしい勤務地と思うこと。
    この地が大変だったら、 他の国では勤まらない。
 
■駐在員の資格■
 
1.  「ネアカ」人間であること。全ての物事をよい方向へ動機づけして、積極的に行動すること。ピンチをチャンスにすること。
 
2.  自己の健康管理上、何かスポーツをすること。テニス、水泳、ジョギング、ゴルフ等、常に出来るものを持つこと。
 
3.  相手国の歴史と地理について一通りの知識を有すると共に、「日本」についても一般教養的な 知識を有すること。例えば、日鉄ヒューマンデベロップメント著、学生社発行「日本」は、良い参考書である。
 
 
4.  営業、技術、製造、開発等の分野でエキスパートであると同時に、総務、経理関係についても一通りの知識を持ち、処理が出来ること。
 
 
5.   誰とでも気軽に話をし、相手の考えを正しく理解することが出来ること。
 
6.  「言葉」におぼれないこと。外国語が出来るにこしたことはないが、「言葉」におぼれてしまって、 実務の報告が出来ない人を多々見かける。それでは仕事は出来ない。
 
 
7.  音楽、絵画、建築、哲学、思想等に興味を持ち、心豊かに暮らすこと。
 
■社長(経営者)の必要条件■
 
1.体力   2.先見性   3.判断力   4.知識   5.お金   6.さらに社長としての魅力
 
■単身赴任の心得■
 
 以下はある大手企業のマニュアルにある「本人の10カ条」及び「妻の10カ条」である。参考にされたい。
 

 <本人の10カ条>

 1. ネアカが一番。ネアカにまさる栄養剤はない。

 2. 別居意識、孤独感を持つな。長期の出張研修に参加していると考えよう。

 3. その出張研修のテーマは「定年後の生き方」「老後の夫婦生活」「健康・栄養学」である。

 4. 何事も100点満点を望むな。60点で人並み、70点で秀才と思え。

 5. 義務感でイヤイヤ家事をするくらいなら、放棄して外へ出よう。

 6. 定時になったらさっさと帰れ。残業、酒、マージャンに部下を巻き込むな。みんな迷惑している。

 7. いずれは強制送還されるのだ。タップリある自由な時間を有意義に使え。

 8. 大変なのは、むしろ女房殿だ。女房のガス抜きに抜かりはないか。爆発してからでは遅い。

 9. 控えるもの:塩分、糖分、脂物、酒、煙草、テレビ、仕事。女性は厳禁。

 10.努めること:健康づくり、友人づくり、趣味、旅と味、遊び心。睡眠を厳守。

 

 <妻の10カ条>

 1. 女房が明るいと亭主も明るくなる。楽しい話題で亭主をヨイショしよう。

 2. 自分たちの都合で選択した二重生活。金、子供について電話で愚痴を言わない。

 3. 食事、酒、家事などでこまごま言うのはやめよう。やる亭主はやる!やらない亭主はやらないのだ。

 4.「かわいい子には旅をさせよ」というではないか。過保護な妻になるな。夫の自立のチャンスだ。

 5. 衣替えの時期、年に2度は夫を訪ねるべし。せっかくの別荘ではないか。休日デートを楽しもう。

 6. 今は2度目の見合い期間、恋愛期間だ。単身赴任が終わったら、もう1度“新婚”しましょう。

 7. 赴任3ヵ月間は毎朝でも電話を。この時期、彼の精神状態は不安定だ。優しく励まそう。

 8. 一人暮らしの父は娘の手紙に弱い。娘にせっせと手紙を書かせよう。

 9. 別居しているのではない。彼は出張中なのだ。部屋、グッズに勝手に手をつけるな。

 10. 病気をしない。彼が一番気にしているのはそこだ。健康なら70点、ネアカだと30点プラスだ。