この本を読まれる方は多かれ少なかれタイにおけるビジネスに関心を持っておられる方だろう。そういった方にはまずタイを少しでも知るところから始めてもらいたい。
タイに関するガイドブックやタイ語のテキストはたくさん書店に並んでいるが、ビジネス書は非常に少なく、また、あったとしても専門的だ。それでも、商売を開始しようとする人には、くらいついてもらいたい。日本でタイに関するビジネス書を読んだり、ウェブ上で情報を収集したりしてきてほしいものだ。
また、何度でもタイに来訪し見聞を広め知識を豊富にする機会をもってほしい。数多く訪問することで今まで見えてこなかった部分がだんだん見えてくるようにもなる。特に、ビジネスを行う視点でタイを見つめなおすことも重要だろう。
同様にタイの商習慣も知らなければならない。ビジネスをしているとしばしば「ここは日本ではない。タイだ」という言葉が出てくるが、これは日本の常識やビジネス習慣が通じないということを意味しているのだ。
なお、タイを知る最高の近道は、タイ語という言葉を知ることだ。タイでは多少英語も通じるが、タイ語を理解せずにはビジネスは出来ない。言葉が出来なければ人と人の意志の疎通が悪くなり、誤解が生じがちなのは言うまでもない。これがビジネス上で生じれば致命的だ。
本書の目的は、バンコクでビジネスを新たに始めようとされる方が必要とするであろう広範囲の情報を提供することにある。情報収集の仕方や会社の設立から始まり、問題が生じた時の対処方法、バンコクの生活情報まで網羅することで、多くの日本人がタイを楽しみつつ少しでも有意義なビジネス・ライフを送るための一助となることを願っている。
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