第1章 1.はじめに

(1)タイを知ること
 

 この本を読まれる方は多かれ少なかれタイにおけるビジネスに関心を持っておられる方だろう。そういった方にはまずタイを少しでも知るところから始めてもらいたい。

 タイに関するガイドブックやタイ語のテキストはたくさん書店に並んでいるが、ビジネス書は非常に少なく、また、あったとしても専門的だ。それでも、商売を開始しようとする人には、くらいついてもらいたい。日本でタイに関するビジネス書を読んだり、ウェブ上で情報を収集したりしてきてほしいものだ。

 また、何度でもタイに来訪し見聞を広め知識を豊富にする機会をもってほしい。数多く訪問することで今まで見えてこなかった部分がだんだん見えてくるようにもなる。特に、ビジネスを行う視点でタイを見つめなおすことも重要だろう。

 同様にタイの商習慣も知らなければならない。ビジネスをしているとしばしば「ここは日本ではない。タイだ」という言葉が出てくるが、これは日本の常識やビジネス習慣が通じないということを意味しているのだ。

 なお、タイを知る最高の近道は、タイ語という言葉を知ることだ。タイでは多少英語も通じるが、タイ語を理解せずにはビジネスは出来ない。言葉が出来なければ人と人の意志の疎通が悪くなり、誤解が生じがちなのは言うまでもない。これがビジネス上で生じれば致命的だ。

 本書の目的は、バンコクでビジネスを新たに始めようとされる方が必要とするであろう広範囲の情報を提供することにある。情報収集の仕方や会社の設立から始まり、問題が生じた時の対処方法、バンコクの生活情報まで網羅することで、多くの日本人がタイを楽しみつつ少しでも有意義なビジネス・ライフを送るための一助となることを願っている。


2)マーケティング・リサーチ
 

 どんなビジネスをするにしても、マーケティング・リサーチは重要だ。どんな業種であっても、外からやって来て開始するのは厳しい。当然、自分の得意分野の業種である ことが大前提だ。次に、資本(お金)はどの程度必要かの目安を設定する必要がある。慎重にコスト計算 を行って欲しい。

◇マーケティング・リサーチの際、検討すべき点について紹介する。

 

・ビジネスを行う場合、そのビジネスの客層が誰なのかターゲットを決める必要がある。タイでは、 富裕層、中間層、貧困層の3つに分かれており、どの層をターゲットにするか明確にしておくことが重要。

ターゲットの客層が集う場所に店の立地を決める必要がある。

同業者の動きを観察する。どのような業種でも既に先輩はいる。この先輩がこれから競合相手となる。先輩が成功しているかどうか、問題点があるとしたらどんな点か、同じ事をしたら勝てないということを認識して勝負に挑む必要がある。

タイ人の責任者を探す。よきタイ人パートナーに巡り合えるかどうかが重要な分岐点だ。
店をオープンする場合、タイ人の責任者を置き管理させなければならない。この責任者が悪いと店 は立ち行かない。


(3)具体的に行うこと
   
@
会社の設立
   
外国人がタイでビジネスを開始する場合、個人営業は出来ないため必ず会社を設立しな ければならない。この会社設立手続きは、3〜8万バーツ程度の費用で約1ヵ月かかる。問題は、会社株主の51%をタイ人にする規制があり、タイ人の株主を探さなければならない点だ。後になって会社を丸ごとのっとられる恐れがないよう信頼できる株主を探したい。 (第3章会社の設立の項参照)
 
A
住居の決定
   
アパートは、最低 5,000バーツくらいから予算に応じて探すことが可能だ。 (第5章アパート・コンドミニアムの選び方の項参照)
   
B
オフィス(店舗)の賃借
   
  オフィス(店舗)をどこに設置するかは重要だ。 (第3章オフィスを構えるの項参照)
   
C
ビザ、ワークパーミット
   
  ビザの有効期限が切れる前に出国し再入国、ということを繰り返すことは 可能だ。ワークパーミットもタイ国内で働く以上取得しなければならない。 (第3章ワークパーミットとビザの項参照)
   
D
従業員の採用
   
従業員を採用することは極めて難しい。従業員によってビジネスの成功、不成功が 決まると言っても言い過ぎではない。 (第3章タイ人職員の採用と日本人の就職状況の項参照)

(4)留意点

   
@
パートナー探しが一番重要。日本人だからと信用してだまされたという話をよく聞く。よきパートナーを見つけることが肝要だ。
 
A
次に重要なのがビジネスについてアドバイスをしてくれるコンサルタントの存在。 パートナーとコンサルタントは別々の人物であることが重要。
   
B
声をかけてくるタイ人に用心すること。頼みもしないのにビジネスで声をかけてくる人がいたら注意 が必要。
   
C
時間をかけて慎重にすすめること。少しでも多くの人に会ってよく検討してから実行すること。

         情報収集の方法

 
日本にて
 
(1) タイについての本を読む
 
 旅行についてのガイドブックはたくさん発行されているが、ビジネス関係の本は非常に少ない。小さな 書店には置いていないので、大きな書店に行って探すことを勧める。主なビジネス書は次の通り。
 

書名

出版社

出版年

価格

ビジネス入門 ― バンコク編(第6版)

小林株式会社

2002

680B

タイでの事業展開

さくら総合研究所

1996

2,200

ビジネスガイドタイ

JETRO

1995

2,000

 
(2) 日本での資料収集 
 

組織名

住所

tel

タイ国投資委員会
BOI)東京事務所

東京都港区赤2−11−3
福田ビル
West 8F

03−3582−1806
03−6582−0976

日・タイ経済協力協会

東京都文京区駒込2−12−13 アジア文化会館内
09−3946−0841

日泰貿易協会

大阪市中央区 本町橋2−8
大阪商工会議所内

06−6944−6168
 
(3) インターネットで情報収集
 
 日本にいながらにしてタイの情報を簡単に収集できる時代がやってきた。準備万端でタイを訪問できるにこしたことはない。ここに一部力の入った日本語のサイトをご紹介する。あっという間に消えて行くサイトが多いの中で、アップデートな情報を提供してくれる貴重なサイトである。
 

サイト名

コメント

ハロタイ・ドットコム

タイ関係ウェブサイトのリンク集。あらゆるページを網羅した代表的リンク集だが、玉石混こうの感は否めない。閉鎖中のサイトも削除されていないなどの問題点もある。

リンク・タイランド

同じくリンク集。

タイ企業情報/海外企業情報

タイの企業情報をオンラインで提供。商務省から20年間の使用許可を付与されたタイ・ビジネスに関する情報データベース。タイで最初の会社登記情報・年間財務諸表を データベース化した情報会社。ただし有料。

タイ国投資委員会BOIバンコク

タイ国投資委員会(BOIの政策、業務内容、申請フォーム、タイ経済データ推移、予想。日本語のページがある!と喜んで接続してみると、実は日本語は目次だけだったりもする。今後、全ページの日本語訳に期待したい。

タイ国経済データベース

元BOIアドバイザーの元田時男氏が制作。タイの経済、ビジネスに関する統計、法令、その他有益情報を満載。圧倒的な情報量でこのサイトの右に出るページはない。

SADUU

タイ在住者向けの各種生活情報だけでなく、タイの最新 ニュースも紹介している。毎日アップデートしている数少ないホームページ。

NetTHAI

ホテル・レストラン情報など、多くの人の書き込みを経て充実したページとなっている。バンコクの夜遊びレポートもある。

 
(4) 銀行
 
 大手銀行は、タイの投資に関するハンドブックを用意している。取引をしている顧客に限定されるが、上手にもらおう。  
 
タイに来て
 
@
紀伊国屋書店(伊勢丹6階)へ行ってタイ関係の本を探してみよう。日本で足を棒にして書店を回るより手っ取り早く見つけられるだろう。
 
A
盤谷日本人商工会議所 (Phone: 0−2256−9170〜3) へ行って資料を買う。とりわけ、「タイ国経済概況」(2000/2001年版)がタイ経済の入門書としてベストである。

ほとんどのタイ関係の経済・ビジネス本の情報源はこの本。(
5版、497ページ、会員 1,000バーツ、非会員 2,000バーツ)
 
 
B
ジェトロ・ビジネス・サポート・センター(BSCT)へ行って相談する。コンサルティングのみでなく、タイ進出を希望する日系企業に一定期間、オフィスを無料で貸し出している。(後述)
 
C
銀行・商社・建設会社へ行く(要予約)
D
当地の会社でコンサルティングを行っている所もあるが、紹介をうけて行くことを勧める。
E
当地の書店で販売されている「ハロータイランド」(480バーツ)は企業の電話帳であると共にビジネスの入門書にもなっている。