はじめに
タイに赴任してきた駐在員のために洗濯について書くことにしました。
かつて「ビジネス入門 バンコク編」(小林株式会社 発行)の中の生活編「洗濯・クリーニング」で洗濯について少し書きましたが、この本国を深く、広くとりあげることにしました。以下のサイトを参照下さい。
http://www.kobayashi.co.th/business/page/no4-1.htm#wash
第1節
まず洗濯について日本人とタイ人の風土、風習、習慣の違いに提起してみましょう。
1.洗剤は多く入れれば入れるほど汚れがおちる、という迷信?について。
2.洗濯時間は長ければ長いほど汚れがおちる、という迷信?について。
3.白物と色物を分けずに共に洗うという習慣。
4.ズボンとワイシャツを同時に洗濯するという習慣。
5.干す時は日陰ではなく日向に置くという習慣。
6.アイロンをかける際、あて布を使わず、直接押し付けるという習慣。
7.綿とテトロンなどの生地についての知識が不足しているので、アイロンの熱の強さがわからないという状況。
以下の問題提起についてコメントしてみましょう。
1.洗剤はどの程度が適切か?と問われても答えるのが難しいです。一番良いのはメーカーがガイドラインを出すことでしょう。しかし、メーカーはメーカーで生地の汚れ具合、水の温度によって、異なるので提示できない、なんて云いそうです。全く、いいかげんに云うなら、日本の場合、洗濯機の中に入れた衣類に対し、1杯のサジでは不足、2杯で妥当、3杯で多すぎる、ということなのでしょうか?
一方、タイではこのサジは使われていません。このサジ加減ができないので、その人のカンで入れています。そうするとついつい多くいれるようになり、その結果、消費が増え、それ故メーカーの伸びるという現状になっています。
まあ、タイの洗剤は日本に比べ泡立ちが良いため入れすぎたかどうかは、それをバロメーターとしているようですが・・・。温度との関係で云うならタイでは水温は25〜30度程度ですので洗剤の量は少なくても汚れはおちやすいでしょう。
2.洗濯時間の長さ(主に洗濯機の場合にて)
洗濯時間についてもいろいろな要因がかかわっているため一概に云えない、というのが結論でしょうか?
すなわち、
ア、洗濯物の生地による。
イ、洗濯物の汚れの程度。
ウ、洗濯方法(回転方式なのかドラム方式 なのか、そしてその速度)
エ、もちろん水温にもよる
実際、オートマチックの洗濯機では、洗濯物と洗剤をいれて「オート」のボタンを押すことになり全自動なので40分程度で終了となり、大変便利です。つまり、あれこれと考える必要がないのです。
3.白物と色物を分けず洗濯するという習慣は歴史的にさかのぼってみる必要があります。昔々は色物がほとんどで、白物は特別な生地だったのではないでしょうか?
その証拠として、タイの田舎に行くと、白物の衣服は珍しいです。多分、汚れやすいから。又は水がきれいでないので白物を数回洗うと、黒ずんでしまうのではないでしょうか。だからと云って漂白剤を使うまでに至っていません。洗濯は洗濯物カゴに入れたものをそのまま、洗濯器(たらい)に入れ、洗ってきたのでしょう。もし、別々にすると、たらいがもう一つ必要、時間も必要になり、面倒なので共に行うことになります。この方が効率が良いと考えます。
タイでは白色の衣服は高級と思ったほうが良いです。役人の正式な制服は白色、大学生の制服(上衣)は同じく白色です。
4. ズボンとワイシャツを同時に洗濯するという習慣について
つまり生地に関係なく共に洗濯してしまうということです。ブラジャーや靴下も共にズボンと共に洗濯しています。今でこそネット袋が利用されていますが田舎ではまだまだ普及していません。ズボンのような厚地の生地と靴下のような薄地の生地では、共に洗濯するとたまらないです。
タイでの田舎で洗濯機の普及がどの位かわかりませんが、それがない場合、手で洗濯ということになります。この洗濯は食事の準備と共に行う人にとっては大きな仕事となっています。時間の節約のためついつい、無意識に同時に洗濯してきたのです。まあ、これで習慣から来た現実なのです。
5. 洗濯物を干す段階になりますが、干す場所が日向か、日陰か。
日本では日向にほしませんよ。色が落ちてしますので。しかし、タイでは日向に干します。ただし、衣類を裏側にして直接表側が日光に当たらないように工夫しています。なぜなのでしょうか?と理解に苦しみました。
理由は次の2つのようです。1つは日陰に干すと、においが残る。もう1つは殺菌が不十分なため。衣服の色落ちについては、タイの衣服はカラフルなので、多少の色落ちなんて「マイペンライ」なのでしょうか。色落ちしたらその時は買い換えすれば良い、と思っているのでしょうか。
6.アイロンをかける際のあて布について
なぜあて布をしないか。これも歴史的にさかのぼって習慣から由来すると思えば理解できるでしょう。電気アイロンがなかった時、鉄製のアイロンに、炭を入れ炭の熱で服に線を付けたのです。その時、布をおくと、熱が服に届かず、そのため直接アイロンを布に押し付けたのが始まりのようです。
現在に至っては布を使うと、それだけ作業効率が悪いので使用しないのです。生地がいたむ、テカテカ光る、というのは自分に関係ないことなのです。第一、あて布を置くと、その布をアイロンすることになり、その下にある服に少ししか影響を与えない、と思うのですから、正直な考えです。
7.綿とテトロンなどの生地の知識について
この知識は誰がどこで教えているのでしょうか。人間教えられていないなら、どんな人でも無知です。生地において、アイロンの熱強度が異なる、ということを教えないで、アイロンしてしまうものですから、時に衣服をダメにしてしまいます。
このような時、ダメにした人に対して怒ることができるでしょうか?過失責任があるでしょうか?いや、無過失になるでしょう。メイドによってよって、大切な衣服がダメにされたという話はよく耳にします。まあ、それはもう授業料と思ってあきらめるしかないようです。
メイドに限らず、クリーニング屋に出して衣服をダメにされても、クリーニング料の10倍しか補償されませんので、逆に自己責任になります。綿、テトロン、麻の生地を見分けることは、タイではもう専門家(プロ)の世界です。
なお、タイの衣服に生地の成分表示義務がありませんので、これらの区分見分けに慣れていない、という現状があります。 れでは以上の問題について対策はいかにすべきでしょうか?自分なりに考えてみました。
1、洗濯はプロの人に依頼すること。
素人に依頼すると必ず問題が生じます。メイドなら、経験豊富な人。未経験のメイドならゼロから教えなければなりません。
市内にあるクリーニング屋(洗濯屋)に出す時も、自己責任で出すこと。人によっては自ら洗濯機で洗う人もいます。こだわりの人です。自分で行うと、その分時間がとられてしまいます。
2、人に依頼する以上、白物、色物の区別、なんでも一括して洗う、ことなんか仕方ないと思うこと。よって、ここは考えて依頼するか、自分で行うか判断すること。特に高価な衣服ほど判断が重要です。
3、ワイシャツ、パンツ、靴下などは消耗品と思い、何ヶ月か使ったらもう寿命と思うこと。
第2節
洗濯にかかわるハード(物)についてコメントしてみましょう。
1.水
洗濯に水が必要で、ドライの場合、溶剤となります。
スクムビットのトンローにある楕円形のコンドミニアムに住んでいる人から水道水で洗濯すると白物が黄色みかかるという苦情を聞きました。水道水に問題があるのではなく、コンドミニアムの貯水タンクに問題があるのです。つまり、定期掃除をしないので、貯水槽が汚れていて、そのため水が汚れているのです。
2.洗剤
汚れを落とす働きをするもので、衣類、食器、台所、等の洗浄を目的とした物。洗剤 については、その使用量についてコメントしたところです。又、種類については専門分野になりますのでコメントしません。
3.洗濯機
いろいろなメーカーがあります。一部のアパートで横型の洗濯機を見かけることがありますが、日本人は上から物を入れる縦型の回転式洗濯機を好みます。
4.乾燥機
サービスアパートの中には洗濯機と乾燥機がセットになって置かれているところもありますが、上手に使いこなすには少しテクニックが必要かもしれません。乾燥機は、衣類の水分を取り除く機械ですが、長時間乾燥すると、水分が過不足となって結局衣服をいためる、というおそれがあります。日本人は乾燥機を上手に使いこなせないのでは?
タイでは通常脱水した衣類は3時間干すことによって乾きます。雨季であっても、日本の梅雨のようにジメジメした日は少ないので、乾燥機の出番が少ないのです。
5.洗濯糊について
糊は、衣類にハリとコシを与え、感触を良くしたり、型崩れを防いだりするために使用しますが、なぜか当地では流行りません。
スーパーに行っても販売していません。暑い気候なので、糊を使用すると身体の風通しが悪くなるから、又、アイロンがけする時、余計時間がかかるからでしょうか?
6.洗濯の際に必要なものは、以上の他に、物干し台、物干しひも、アイロン、アイロン台、 洗濯桶、等小物類が必要です。アイロンにしても安物から高価な物まで多種類あり、購入する際悩むものです。
第3節
洗濯にまつわるソフト(理論と方法)についてコメントしてみましょう。
1.汚れについて
洗濯の目的は汚れを除くことです。汚れと洗濯についてコメントしただけで博士論文が書けそうです。とりあえず汚れについて切り口のみ書いておきましょう。
(1)汚れとは、つまり汚れの原因、種類、程度、等についてアプローチする必要あり。(ここでは省略)
(2)汚れが落ちる原理
(3)汚れない布の発明は可能か。(汚れずらい布、汚れと布の関係。汚れない布、汚れずらい布)
2.洗濯、つまり洗うという意味について
タイ語で、体を洗う、頭を洗う、足を洗う、布を洗う、それぞれ動詞が異なります。
3.布について
洗濯される側は、布であり、衣類ですが、この布、衣類についてもいろいろ種類があります。布とは「糸 の製品の総称」と云った人がいました。綿、麻、絹、ポリエステル、これらの布は洗濯の際、取り扱いが異なることになります。
4. ドライと水洗いの違いについて
物によっては、水洗いは不可で、ドライのみ、又、逆もあります。
5. ズボンの適切使用日数について
回答として「なし」です。ケース バイ ケースでしょう。3日間、1週間、1ヶ月、3ヶ月、とクリーニング期間を想定しても、適切な期間は存在しないのではないでしょうか?
6.洗濯の際に必要なものは、以上の他に、物干し台、物干しひも、アイロン、アイロン台、 洗濯桶、等小物類が必要です。アイロンにしても安物から高価な物まで多種類あり、購入する際悩むものです。
第4節
小林 豊のアドバイス
以上、いろいろ書いてきましたが最後にアドバイスします。
1. 高価な衣服ほど、大切にすること。つまり、クリーニング屋の選択が重要ですが、良いクリーニング屋が見つからない時は日本に持って帰って行うこと。日本のクリーニング技術は世界最高ですので。
2.高価でない衣服はあらかじめ寿命(耐用期限)を想定し、消耗品と考え、クリーニング屋なり、洗濯に出すこと。そうすれば納得がいくというものです。
3.下着類に至っては、もう消耗品ですので使い捨ての感覚で洗濯しましょう。
以上の考えの際、いつも気になるのは、自分で行うか、他人に任せるか、という出発点から始まります。たかが洗濯、されど洗濯・・・・。
【資料 洗濯に関するホームページの紹介】
(1)洗濯百科
http://www.929.net/sentaku01.html
(2)洗剤
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B4%97%E5%89%A4
(3)おせんたく
http://lifeon.lion.co.jp/washing/
(4)クリーニング基礎知識
http://park3.wakwak.com/~cleans-i/knowledge/index.html