第一章 書く前の心構え |
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1. |
言葉はイメージです |
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イメージが浮かばない人は物書きに適していません。
海を見てなんと思うか?感じるか?
「海は広いな、大きいなー、行って見たいなよその国」
これは小学校で歌った唱歌です。
「おだやかな波がある海」「青い海」「荒波たる海」「コバルトブルーの海」
など、海について書けと云われたら、人それぞれ異なった表現をします。
その表現は、海を見て脳の中にあるイメージを描き、それを書くという行
為によって具体的に見える形にした結果なのです。
誰でもイメージを浮かべることは出来ます。問題はそのイメージを目に見
える形での文字(言葉)として表現できるかどうかなのです。
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2. |
言葉は思想です |
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言葉は人と人の意思の交流のための手段ですが、この言葉は思想なのです。
つまり、その人の考えによって同じ事を言うにしても言葉(表現)が異なります。
「努力します」「検討します」「努めます」「前向きに検討します」
同じような表現であっても中身(思想)はバラバラです。要はその人の考え、つまり
思想から出発して言葉があるのです。
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3. |
物書きの上達方法 |
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どんな世界でも努力なしで上手になることはあり得ません。たくさん書く、
という努力を何倍も行うことです。量を書くことによってそれが少しづつ質
に変わってくるのです。多くの物書きの人に聞いても、必ず沢山書いていま
す。とにかく書くこと。下手とか上手とかテクニックなんか気にせず、沢山
書くこと。これが上達への王道でしょう。
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4. |
正直な心で書く |
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書くということは脳が感じたことを書くという別の脳に指示して、その結
果文学として表現されたものです。この場合、正直な心でないと脳と脳の伝達
の際いわゆる雑音が入り、書けなくなるのです。物書きに悪人はいませんし、
悪人は正直な心でないため書くことが出来ません。
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5. |
物書きは自己主張の表現の表れです |
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自己主張のない人は書けません。書いたとしても誰が書いたかわからない
ような一般的な内容になります。面白くもおかしくもない文、よって存在価値
のない文になります。自分の考えを持つこと、そしてそれを表現すること、
これが自己主張なのです。
自己主張の出来ない人は物書きになれません。
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6. |
起承転結は時代遅れ |
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今のような忙しい社会では、まず結論ありきです。起承転は「結」の後に
書く、これが時代の趨勢です。会話でも、結論を後回しにして話し始めると、
聞いている人は疲れてしまいます。発言する場合でも、最初に結論を述べ、
つまり、賛成反対の立場を先に述べて、その次に理由を述べるのが主流に
なってきています。
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7. |
結論を書かないと締め切りに間に合わない |
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1980年頃のFaxが普及しない頃はテレファックスという手段で世界中
の情報を交信していました。日本の新聞記者が外国から日本へ送信する際、
大変時間がかかり、すべての原稿を送付するのに20〜30分もかかりました。
しかし、新聞社は原稿の締切り時間があり、待てずにその原稿をボツにしま
した。この体験により、送信する人は先に結論、重要部分を書き、後に重要で
ない内容を送信したのです。この基本的スタンスは今でも変わりません。
むしろ、この方法が主流になってきています。
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8. |
喜怒哀楽のない文章は死に文だ |
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「朝起きて、顔を洗って歯を磨き、・・・」という決まり文句を日記帳に書
いたことがあります。まったく面白くないし、当たり前のことをだらだら書い
ている、最後に「ジャンジャン」。喜怒哀楽の無い文章なら、むしろ書かないほ
うがましです。
感動しない、させない文章なんか誰にも相手にされません。
読み終わったら「あーそう」の感想で、終わりです。次が続かないのです。
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9. |
書くことと読むことは連動している |
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よく読書は嫌い、という人がいますがこのような人は書くことも苦手です。
逆に言うと書く人はよく読書をしています。この両者は連動していて切り離す
ことは出来ません。
物書きと云われる人はおしなべて読書家です。上手に書きたいけど読書嫌い
だという人はもう論外です。若いときに読書をせず30代になってから物書き
になりたい人はかなりの努力が必要です。(可能性薄いかも?)
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10. |
難しい性格の人は文章も難しく書く |
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書くことと性格は連動しています。文章を書けば性格が出るし、性格は文
章に表れます。心の温かい性格の人は、文章にその人柄がなんとなくにじみ出
ています。自分の性格がよくない人は文章を書きたがらないし、書けないのです。
書くと、性格がもろに表れてしまうし、そのような性格の人は自分を隠そ
うとするので、文章も書けなくなります。物書きは「まずよい性格から」と
なります。
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第二章 書くテクニック |
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1. |
まず書く |
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紙とペンがあったらまず書くこと。車の運転と同じで理論より実技が大切。
理屈を考えるより、実技を優先したいものです。考えるという脳は休みにして、
書くという脳を優先させること。これが出来ない人は考える脳が強大になり、
書かせる脳をつぶしてしまい、結果的に欠けないで終わるのです。
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2. |
書くときはテーマが大切 |
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テーマは、自分で決めるのと、他人から云われて決まっている場合があり
ますが、いずれにしても、そのテーマについて、何をどのように書くかが大切
です。
時には、テーマと内容が一致せず書かれている場合があります。しっかり
テーマに合わせて書くか、はっきりとした考え(主張)を持って書くことです。
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3. |
テーマと内容 |
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テーマが決まって、すでにイメージがわいている人は、この文章を読む
必要はありませんが、イメージのわかない人のために。
5W1Hと言われている、いつ、どこで、誰が、なにを、どのようにしたか、
ということを順追って書けばそれで一応合格間違いないです。
しかし、それだけでは最低の合格ですので、少し味や、付加価値をつけて、
内容をアップしましょう。
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4. |
タイトルは重要 |
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文書には必ずタイトルがあるものですが、タイトルのない文書があります。
メールの世界でも件名を要求していますが、これです。
このタイトルのない文書は扱いが厄介です。又、タイトルのある文書であっ
ても、タイトルと中身が異なる場合があり、正しく文章を書けるかどうかは、
これをチェックするだけでその人の能力がわかってしまいます。
研修レポートを書かせると、研修内容はそこそこで、それを受けての提案
内容を多く書いている人がいます。
それは、タイトルと異なるので、別のタイトルで提出すべきなのです。
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5. |
接続詞のない文章はお経と同じ |
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文章(小説は別として)には、接続詞が必要で、これによって読む人に理
解しやすいようにします。
「そして」
「しかし」 「また」 「よって」 など、これを入れることによって、文章
と文章の関係がはっきりしてきて、読みやすくなります。
ちなみに、お経は接続詞がないごとく永々と続きます。よく飽きないで我慢
して聞くものですね。これがビジネスの世界では許されません。ハーイ。
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6. |
て、に、を、は、の誤りなんかを気にしない |
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文章を上手に書こうとするあまり、て・に・お・は・に気がとられて、そのた
め文章が書けなくなることがあります。
しかし、こんなことに気にせず、とにかく、ドンドン書くこと。書き終わって
から推敲(すいこう)(書いた後に読み返して、誤字や変な言い回しを修正する
こと)すれば良いのです。
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7. |
文章はいかに短く表現するか。
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昔、スピーチとミニスカートは短いほど良いと云われたことがあります。
文章もしかりです。長々と書かれた文章は好まれない。一回読んで、読み返さ
なくても意味がわかる文章にしたいものです。なぜ文章を長々と書くのか理解
できません。
何故なのでしょうか? 多分、上手にみせようとして?
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8. |
少し酒を飲んで感性で書く |
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文章を書くとき、とくに随筆の場合、思いつくままに書くのですから、
理性モードを感性モードに切り替えて書くと文書がすらすら書けます。
そのためには少し酒を飲み、アルコールによって、思考することを担当して
いる大脳を休ませ、感性を担当する中脳の出番とするのです。
何事もやってみる、トライする。感性担当の中脳で書き、推敲は大脳で書け
ばよい文章が書けます。
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9. |
ひらがな表現と漢字表現 |
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通常、副詞はひらがなで書くのが常識です。しかし時に、副詞を漢字で表
現している文を見ることがあります。転換のキーボードでわざと漢字の所を押
しているからです。多分、ひらがなでは安っぽい文章と思われるのを嫌って押
したのではないでしょうか。それを見ると「素人だなー」と感じてしまいます。
「副詞はひらがなで」これが基本です。
副詞に限らず、名詞、動詞でも漢字を使うべきところは漢字で。そうしな
いと、読む人が読みずらく感じます。
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第三章 物書き放談 |
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1. |
プロは下書きしない |
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昔、音楽演奏者が楽譜を見て、一回打ち合わせの音合わせをした後、本番
演奏したのを聴いて、驚いたことがあります。これを「初見演奏」と云ってい
ました。すごいなー。
プロとはこのようなことか?と感じました。物書きの世界でも、プロは下書
きしません。(少しオーバー?)、少し考えて書き始めるといっきに書き始め、
終わらせます。これは練習を何度も繰り返すとできるようになります。
すごいなーと思われても本人にとっては普通のことと思っています。決して
自分は「すごいだろー」なんて云いません。もし云ったとしたら自慢でなく
冗談ですので・・・。
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2. |
物書き上達方法 |
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すでに、上達の近道は、沢山文章を書くことと述べましたが、さらに重要
なことは良い先生に従事することです。師と仰ぐ人がいると、いないでは大違
いです。小生も若いころ起案文書を書いて、大幅に修正されたのを覚えていま
す。師と仰ぐ人に巡り合えたら、それでもう物書きとして一人前になること間
違いありません。
ただし、一人前になることとプロとは格段の差ですヨ。
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3. |
物書きは選ばれた人 |
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誰でも物書きにはなれません。書くことができる人は知識人、文化人とし
て世の中で崇められます。そういう意味では選ばれた人、つまりエリートなの
です。エリートですからみんなから尊敬も受けます。資本がいらず少しの才能
と多くの努力、これによってエリートになれるのです。(注;この場合のエリー
トとは、書くという特技を持ち、他の人より有利な立場に立つ人)
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4. |
役所の文章 |
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役所の文章は難解です。易しく表現してはいけない世界です。わざと難し
く書き普通の人を寄せ付けない方針なのです。これは、自ら持っている知識を、
わざと他人に知らせず、隠す働きもしています。
世界が違うので、どうこう言っても始まりません。言語明快、意味曖昧、の
世界なのです。物書きでも役所は役所のスタイルがあり、これはこれで否定で
きません。役所の文章の代表は法律文ですが、とにかく長文で難解です。
簡単明瞭に書いてはいけないことになっています。
別世界、別世界・・・。
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5. |
物書きは旅が大好き |
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旅の嫌いな物書きはいません。
旅は知らないところへ行って、新しい風景、景色などを自分の目で確かめるこ
とによって、新しい情報、思考がインプットされ、それが糧となって新しい創
造力が見出されます。その創造力をいかに書いて目に見える形にするか、とい
う才能が要求されるのです。自宅に引きこもって、小説を書くという人はまず
ありえないことです。
かつ、一人旅が大好きで、少し我がままかも?
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6. |
ペンは剣より強し |
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慶応大学のロゴは今でもペン先の形です。
これは、剣よりペンのほうが強いという思想の現れです。徳川幕府から明治政
府に変わった時、従来の武力から、言論の重要性を訴えたシンボルなのです。
元首相小泉純一郎氏の叔父に当たる小泉信三氏が「ペンは剣より強し」という
本の中で書いています。
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終わりに。 |
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インターネット上で文章を書くための参考になるホームページを紹介します。
○ 「文章を書く心がけ」 結城 浩
http://ww.hyuki.com/writing/writing.html
○ 作文の書き方アドバイス 森竹 高裕
http://homepage1.nifty.com/moritake/kokugo/sakubun-point.htm
蛇足
1 物書きとは
物書きとは、作家、シナリオライター、記者、フリーライター、
エッセイスト、漫画やドラマの原作者など、多種多様。
http://okwave.jp/qa2892331.html
2 本の紹介
「日本語の作文技術」 本多 勝一 著
朝日文庫 1982年1月発行
作文を書く人のためのバイブル書。
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